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作品と暮らす、ということ

作品と暮らす、ということ

ずっと昔、中学生のころ。

詩を書くのが好きな友達がいました。

ときどき、自分で書いた詩を、こっそり見せてくれました。

どんな詩だったのかは、もう覚えていません。

でも今になって思い返すと、その子が自分の中にあるものを言葉にして、それをそっと見せてくれたことが、なんだかとても可愛くて、大切なことだったように思います。

誰かの中にあったものが、言葉になったり、絵になったり、何かの形になって、こちら側に渡される。

そして、それを受け取る。

作品と暮らすことについて考えていたら、ふと、そんな昔のことを思い出しました。

 

好きな場所に、好きなように

「アートを飾る」というと、少し構えてしまうことがあります。

きちんと額装して、壁に掛けて、部屋のインテリアにも似合うように。

もちろん、そんなふうに飾るのも素敵です。

でも、いつもそうでなくてもいいと思っています。

小さな作品なら、フォトスタンドに入れてみる。

棚の上に立てかけてもいいし、キャンバスならそのまま置いてもいい。

今日はここがいいと思ったら、そこに置いてみる。
しばらくして気分が変わったら、別の場所へ。

私の暮らしの中でも、作品はよく場所を変えます。

自分の原画があったり、印刷を試してみた作品があったり、ほかのアーティストの作品があったり。

そのときどきで、入れ替わりながら一緒に暮らしています。

プレゼントした小さな作品を、フォトスタンドに入れて、毎月違う一枚に交換しながら楽しんでくれている人もいます。

 

朝の光の中で見るとき。
夜、部屋の灯りの中で見るとき。
そばに花があるとき。

 

同じ作品なのに、置く場所や時間によって、少し違って見えることがあります。

ずっと同じ場所に、同じように飾らなくてもいい。

作品の居場所は、ひとつでなくてもいいのだと思います。

 

離れた場所から

MUNI ART GALLERYの三人のアーティストは、普段、それぞれ離れた場所で作品をつくっています。

なかなか会えない人もいれば、まだ一度も会ったことのない人もいます。

それぞれの場所で、それぞれの時間の中で、作品をつくっている。

でも、不思議なことに、作品はこうして同じ場所に並ぶことができます。

描いた人たちより先に、作品同士が出会っている。

そう考えると、なんだか少し面白いなと思います。

そして作品は、そこからまた別の場所へ行くこともあります。

誰かの手に渡って、知らない部屋の壁に掛けられたり、小さなフォトスタンドに入れられたり。

作った人がすぐに会いに行けない場所にも、作品なら行くことができます。

 

海を超えて

以前、作品をイタリアに暮らす友人へ送ったことがあります。

梱包をして、郵便局から送り出して。

追跡画面を見ながら、「今どこにいるかな」と、ときどき確認していました。

日本を出て、海を越えて、イタリアへ。

私たちはすぐには会いに行けなくても、作品はひと足先に、遠い場所まで冒険に出ていきました。

無事に届いたあと、友人が開封する様子を動画に撮って見せてくれました。

包みを開いて、作品を一枚ずつ手に取っている姿を見ていると、さっきまでこちらにあったものが、本当に遠く離れた誰かの手の中にある。

なんだか不思議で、とてもうれしかったのを覚えています。

 

好きだから、持っておきたい

作品を持つことには、きっといろいろな理由があります。

部屋に似合うから。
色が好きだから。
描かれているものに惹かれたから。

でも、もっと単純なことでもいいのかもしれません。

 

詩を書いたノートを大事にしまっておくように。
旅先で見つけた小さなものを棚に置いておくように。
誰かからもらった手紙を捨てずに持っているように。

 

好きだから、持っておきたい。

それだけで、十分なのだと思います。

きちんと額装して飾ってもいいし、棚に立てかけてもいい。
ときどき入れ替えてもいいし、しばらくしまっておいて、また思い出したように取り出してもいい。

誰かがつくったものが、自分の暮らしの中にある。

それは、大げさなことではないけれど、暮らしの中に小さな楽しみをひとつ持つことなのかもしれません。

それぞれの暮らしの中に、それぞれの作品の居場所があればいい。

A gallery of your own.

私の大切なものを、こっそりあなたにも楽しんでもらいたいです。

Written by munira

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