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画面の光、紙の光。emu『美味しい月』をプリントして

画面の光、紙の光。emu『美味しい月』をプリントして

emuの作品『美味しい月』をジークレーでプリントすると決めたとき、ひとつ気になっていたことがありました。

デジタルで描かれた、この「光」は紙の上でどうなるんだろう。

『美味しい月』には、たくさんの光があります。

夜空に散らばる星。
青や緑に輝く装飾。
白い服を包む淡い光。
そして、静かに浮かぶ月。

画面で見るデジタル作品は、ディスプレイそのものが光を放っています。

でも、紙は光りません。

この作品を紙にしたとき、画面の中で感じていた光まで失われてしまわないだろうか。

プリントする前は、そこが少し心配でした。

「わあー、光ってる」

届いたジークレープリントを初めて見たとき、

「わあー、光ってる」

思わず声が出ました。

もちろん、紙そのものが発光しているわけではありません。

それなのに、星はちゃんと瞬いて見える。

白い服のまわりには淡い光を感じる。

暗い背景の中から、青や緑、オレンジが浮かび上がってくる。

画面と同じ光ではない。

でも、紙の上にも確かに『美味しい月』の光がありました。

紙って、本当にやっかいです。

実際に作品をプリントするようになって、感じることがあります。

紙って、本当にやっかいです。

部屋の明るさ。
窓から入る光。
その日のお天気。
作品を置く場所。
そして額装。

その全部に影響されます。

明るい自然光の中で見た色と、少し暗くなった部屋で見た色は違います。

見る時間が変われば、目に入ってくる色まで変わります。

同じ一枚なのに、そのたびに違って見える。

画面のように、自分から一定の光を出してはくれない。

周りにある光を受けて、そのとき、その場所で作品を見せてくれる。

それが紙なんだと、少しずつ分かってきました。

光っていないのに、光が見える

近くで見ると、『美味しい月』を印刷しているアルシュ水彩紙には、細かな凹凸があります。

白い服の部分を見ると、その質感がよく分かります。

表面がつるつると反射して、光って見えているわけではありません。

むしろマットな紙です。

それなのに、少し離れて作品全体を見ると、ちゃんと光を感じる。

紙そのものの反射ではなく、色と色、明るさと暗さ、その組み合わせの中から光が現れてくる。

そして近づけば、今度は画面では意識しなかった紙の凹凸や、色の細かな表情が見えてきます。

デジタルだった作品が、手で触れられる「もの」になったことを感じる瞬間です。

画面の光から、紙の光へ

こちらが、emuが描いたデジタル原画です。

画面の中では、ディスプレイの光を通して『美味しい月』を見ることができます。

そして紙になった『美味しい月』は、部屋にある光を受けながら、また違った姿を見せてくれます。

どちらかが本物で、どちらかがその代用品、ということではないのだと思います。

画面には、画面の光がある。
紙には、紙の光がある。

今回『美味しい月』をプリントしてみて、改めてアルシュを選んでよかったと思いました。

MUNI ART GALLERYで届けたいのは、作品の画像を大きく印刷しただけのポスターではありません。

紙を選び、作品に合った形でプリントし、手に取って、飾って、日々の光の中で眺めることのできるもの。

ひとつの作品として手元に置ける、複製画です。

今日と明日でも、きっと少し違って見える。

そんなところまで含めて、紙の作品を楽しんでもらえたらと思っています。

Written by munira

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